ピアノ教室 in トロント

ピアノ教室のことを中心に、日々の出来事を綴ります。

心で奏でる

今日は、最近利用しているトロント郊外の楽器店へ楽譜を買いに出かけました。注文していた教則本が届いたのを取りに行かないとならなかったのですが、そういうときはそれ以外の楽譜も大量購入して来るのが常です。

 

いつもは女性の店員さん二人のうちどちらかと話しながら本を探すのですが、今日は二人とも見かけず、オーナー自らが店頭へ出てきて本を探すのを手伝ってくれました。

ですが、残念ながら見つからなくて注文になった楽譜もあり、毎度のことですが、今日も注文した品を受け取って、また新たに注文。

 

「ピアノ」と「音楽」が別のことになってる人が多いから、だから、グレード試験の課題曲集以外の本はほとんど売れないんだよ。。。とオーナーがぽつり。試験に合格することが「音楽」ではない、心で感じて奏でるのが「音楽」なのに…と。

 

このグレード試験偏重主義のカナダで、カナダ人の発言とは思えないようなまともな発言を、もしかしたら初めて耳にしたかもしれません!

 

届いた教則本を受け取り、新たに購入する楽譜の支払いを済ませ、新たに注文する本の手配をし、お店を後にしました。

高速道路を運転中、オーナーの言葉が何度もよみがえり、なんだか目頭が熱くなる思いでした。ややもすると、私もグレード試験やコンクールに追われたレッスンになり、純粋に「音楽」を楽しもうとする気持ちを後回しにしそうになることも無きにしも非ず。。。グレード試験やコンクールは、指定された日までに完成させないとならないという焦りもあり、いつもいつもが楽しいわけではありません。ですが、この定められた日までに仕上げることを繰り返すうちに、技術が磨かれることもあるのも、また事実。

 

楽しいだけでは技術は身につかず、技術だけでは心は伝わらない。両立することによって、いつの日か心で奏でることができるのではと私は考えているのです。つまり、一番難しいのは、そのバランスということでしょうか。

 

今日はおじさんと話せて良かったな~と思いながら、一日過ごしました。このお店との付き合いは、長くなりそうです。